「保育園では、卵アレルギーにどこまで対応してもらえるのだろう」 「親は毎日、何を確認すればいいのだろう」
子どもが卵アレルギーと診断されて保育園への入園を控えていたとき、私が不安だったのは「きちんと除去してもらえるのか」「もしアレルギーが出たらどうしよう」という 2 つでした。
この記事では、国が示している基本的な考え方と、卵アレルギーの子どもを保育園に預けている我が家が実際にしている確認作業を、分けて書いていきます。
この記事は「我が家ではこう確認しています」という一例です。
- 献立表・調理表:A4で約20枚
- 毎朝の最終確認:約5分
- 園や自治体によって、書類や確認方法は異なります
実際の対応については、必ずお子さんが通う園に直接確認してください。
まず知っておきたい前提:園の給食と家庭では、対応の範囲が異なることがある
保育園での対応を考えるうえで、最初に押さえておきたい前提があります。 家庭で食べられている量と、園で食べさせてもらえる量は、同じにならないことがあるという点です。
園の給食は「完全除去」が基本
保育園での食物アレルギー対応は、厚生労働省の「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン(2019 年改訂版)」に沿って行われます。 このガイドラインでは、全職員を含めた組織的な対応、医師の診断・指示と生活管理指導表に基づく対応、保護者との連携が基本原則として示されています。 そして食物アレルギーへの対応については、安全・安心の確保を優先し、完全除去対応を基本原則としています。 つまり「その食品を出すか、出さないか」の二択で考えるのが基本、ということです。 対応の根拠となるのが「生活管理指導表」です。 これは保育所で特別な配慮や管理が必要な子どもについて医師が作成する書類で、医師・保護者・保育所の間をつなぐ重要なコミュニケーションツールとして位置づけられています。
家庭で食べられていても、園では除去になることがある
家庭では医師と相談しながら少しずつ食べられる量を増やしていても、園ではその量に合わせた対応にならないことがあります。
ガイドラインでも、家庭での個別の摂取レベルをそのまま給食に適用すると、調理や管理が煩雑になり、誤食が起きる遠因にもなり得ることが示されています。 だからこそ、対応をできるだけ単純にして、完全除去か解除かの両極で進めることが基本とされています。 もちろん、家庭でも完全に卵を除去している場合は、家庭と園の範囲が同じになることもあります。 「必ず違う」という話ではありません。 そして、実際にどこまで対応してもらえるかは、園の体制や自治体の方針によっても変わります。 ですので、次に書く「園に確認すること」が大事になってきます。
入園が決まったら、まず園に確認すること
入園が決まってから私が最初にしたのは、園にアレルギーのことを相談することでした。 アレルギーがあること、除去してほしいこと、どう対応すればよいのか、相談したいことを、まず園に伝えました。
❶ 必要な書類・様式・提出時期は園に聞く
先ほど触れた生活管理指導表は、医師に記入してもらう書類です。 ただし、様式や提出の時期、手続きの流れは園や自治体によって運用が異なります。 ですので、まず園に「どの書類が必要か」「どの様式を使うか」「いつまでに出せばよいか」「どういう流れで進めるか」を聞くのが最初の一歩になります。 ここは自分の園に確認するのが確実です。
❷ 書類が整うまでには時間がかかることがある(我が家の流れ)
我が家の場合は、入園が確定してすぐ保育園に相談しました。 そして次の定期通院のときに主治医へ記入を依頼し、書いてもらったものを園に提出しています。 書類は、その日のうちに手元に届くとは限りません。 次の受診がいつになるか、医師がいつ記入できるかによって、手にするまでの時間は変わってきます。 これは我が家の進め方であって、おすすめの手順としてお伝えするものではありません。 園から示される必要書類や期限に合わせて、そこから逆算して主治医に相談するのが確実だと思います。
もし今、入園前の自分に一つだけ伝えられるとしたら、医師に記入してもらう書類は時間がかかることもあるので、入園が決まったらすぐアレルギーについて相談したほうがいい、と伝えると思います。
面談で聞いておきたいこと
これから入園を控えている方に、園に確認しておいたほうがいいと思うことを 3 つ挙げるとしたら、次のものになります。
アレルギー除去の確認方法(園がどうやって確認しているのか) アレルギー症状が出たときの対応 その園に、アレルギー除去が必要な子どもを受け入れた経験や実績があるか
3 つ目については、経験や実績があるかを聞いたうえで、実際にどういう体制で対応しているのかまで聞いてみるとよいと思います。 誰が確認しているのか、どんな手順になっているのか、といったところです。 我が家の場合は入園前の説明で、うちの子以外にも対応していること、献立表の確認や毎朝のチェックを実施していることを伝えられました。
我が家は、主治医と相談した範囲を園に伝えている
園での対応は、医師の診断・指示と生活管理指導表が土台になります。 保護者と園だけで決められるものではありません。 そのうえで我が家の場合は、主治医と相談し、「これなら確実に大丈夫」と判断できる範囲を園に伝えています。
家庭で食べられる量のほうが多く、園にお願いしているのはそれより狭い範囲です。 入園当初と比べると、食べられる量は増えました。 主治医と相談しながら進めてきた結果、今ではロースハムやロールパンなど、一部の食品は園でも使ってもらえるようになっています。 ただ、これは我が家の園での話です。 同じように進むとは限りませんし、園の体制によっても変わります。 まずは主治医に相談したうえで、園と話をしてみてください。
毎月の献立表・調理表を、我が家はこう確認している
我が家の確認の流れ
- 月1回:献立表・調理表を確認
- 1回目:約15分 → マーカーでチェック
- 2回目:約15分 → 見直し
- 当日の朝:約5分 → 実物・調理表を最終確認
ここからが、入園後に実際に発生している作業の話です。 「献立表を確認しましょう」という言葉だけでは伝わりにくい部分を、我が家の場合として具体的に書きます。
届く書類は A4 で約 20 枚(我が家の場合)
毎月、保育園から給食とおやつの献立表、そして調理表を受け取ります。 その量は A4 用紙で約 20 枚です。 調理表には、どのメニューにどの食材を何グラム使うのかだけでなく、調理をするときの注意点まで細かく書かれています。 初めて調理表を見たときは、この内容を見ながら毎日調理しているのか、ここまで細かく調理の注意点が書かれているのか、と驚きました。 書類の量や種類、配布の形式は園によって違います。 もっと少ない園もあれば、形式そのものが違う園もあるはずです。 我が家の場合は約 20 枚、と受け取ってください。
15 分×2 回で確認する。1 回目はマーカー、2 回目は見直し

この約20枚を、私は15分ずつ2回に分けて確認しています。
- 1回目:マーカーを引く — 書類を見ながら、当日に確認したいものを拾います。
- 2回目:見直す — 1回目のチェックに漏れがないか確認します。
合計で30分ほど。 ただし、これは我が家の場合で、書類の量が違えば時間も変わります。
特に注意して見るのは「ぱっと見て卵と分からないもの」
入園前の私は、卵料理さえ避ければ大丈夫だろうと思っていました。 実際にはそう単純ではありませんでした。 私が特に注意して見ているのは、ぱっと見ただけでは卵が使われているか分からないものです。 たとえばクッキーやハンバーグは、製品によって違ってきます。 献立表の文字だけでは判断がつきません。 ですので、そういうものにはとにかくマーカーを引いておいて、当日の朝に実際の製品をチェックするようにしています。
商品パッケージによって、アレルギー表示の分かりやすさに差がある
実際に製品を確認するようになって感じたのは、パッケージによってアレルギー表示が分かるもの、分かりにくいものといった差があるということです。 原材料表示の文字は小さく、似たような表記も多いため、急いで確認すると見落としにつながる可能性があります。 慣れてきた今でも、ここは時間をかけるようにしています。
毎朝 5 分、調理室で最終確認する
月に一度の確認だけで終わりではありません。 我が家では毎朝、もう一度確認する時間を取っています。
月次の確認だけでは終わらない理由
前の章で書いたとおり、月次の確認ではマーカーを引いて「当日に確かめるもの」を拾い出しています。 献立表の文字だけでは分からなかったものを、当日に実物で確かめる。 この二段構えになっているのが、我が家の確認方法です。
昼食は調理師と、おやつは実物のパッケージで

子どもを保育園へ送り届けたあと、そのまま調理室へ向かいます。 昼食については、事前に確認しておいた調理表をもとに、調理師さんと一緒に最終確認をします。 おやつについては、実際の商品パッケージを見て原材料表示を確認します。 かかる時間は 5 分ほどです。 入園前は、成分表示を見ればすぐ終わるだろうと思っていましたが、実際にはこのくらいかかっています。 一つひとつ慎重に確認し、これなら大丈夫と納得してから子どもを預けるようにしています。
この方法は園から提案されたもの
念のため書いておくと、この毎朝の確認は、私からお願いしたものではありません。 園の側から、こうした方法で実施しているという説明を受けて始まったものです。 園によって、こうした仕組みがあるかどうかは違うと思います。 園を見学するときや面談のときに、保護者がどのタイミングで何を確認することになるのかを聞いてみると、入園後の生活が想像しやすくなるかもしれません。
慣れるまでのこと
最初からうまくできていたわけではありません。 入園したばかりのころは、給食室に行くことを忘れて、駐車場から戻ったこともありました。
園の誤食防止の仕組みは、見学や面談で確認できる
保護者が確認するだけでなく、園の側でも誤食を防ぐための工夫が行われています。
専用トレーなどで見分ける仕組み
ガイドラインでは、誤食を防ぐために次のような取り組みが示されています。
- 二重・三重のチェック
- 食器などでアレルギー対応食を見分ける工夫
- 職員間での役割分担と連携
たとえば船橋市が公開している保育所等向けのアレルギー対応マニュアルでは、専用のトレーなどを使って識別する方法が挙げられています。
ほかにも、生活管理指導表の活用、保護者との面談、職員間での情報共有といった運用が定められています。 こちらは船橋市の例です。 自治体によって定めている内容は違いますので、そのまま全国に当てはまるわけではありません。
我が家の園の場合
我が家の子どもが通う園では、トレーの色が他の子どもと違うものになっています。 配膳も別に実施されていると聞いています。 一方で、席の配置についてどうしているかは、私は聞いていません。 こうした仕組みは外から見ただけでは分かりにくいので、見学や面談のときに聞いてみるのがよいと思います。
症状が出たときの対応は、「伝えた」だけで終わらせない
ここは、私が実際に経験してから考えが変わった部分です。 事前に園へ伝えておくことと、その内容が実際に園の中で動くことは、同じではありませんでした。 何を、どこまで確認しておけばよかったのかを書いていきます。
緊急時の対応は事前に相談しておく
ガイドラインでも、組織的な対応や保護者との連携が基本原則に挙げられています。 症状が出たときにどうするかは、事前に園と話し合っておくことになります。 我が家の場合は、緊急時に使う薬を園に預けています。 そして入園前の面談で、症状が出た場合には保護者への連絡より先に薬を飲ませてほしい、と伝えていました。
症状が出たときに、事前に確認しておきたいこと
- 誰が判断するのか
- 薬を誰が出すのか
- どのタイミングで保護者へ連絡するのか
- 園内で手順・役割が共有されているか
我が家が実際に経験したこと
その後、主治医と相談して園でも出してもらえるようになっていたロールパンを食べたあとに、子どもの顔が赤くなり、アレルギーのような発疹が出たことがありました。 園から電話がありました。 そのとき、薬はまだ飲ませていない、と言われました。 事前に先に飲ませてほしいと伝えていたので、私はその場で改めて、すぐ飲ませてくださいとお願いしました。
この経験から思うこと
このとき私が思ったのは、伝えたつもりでも、それが誰にどう共有されているかまでは自分は知らなかった、ということでした。 面談で話した内容が、その日その場にいる先生にどう伝わっているのか。 症状が出たときに、誰が判断して、誰が薬を出して、どのタイミングで保護者に連絡するのか。 そこまでは確認していませんでした。 緊急時の対応は、書類を出せば自動的に決まるものではないようです。 ガイドラインでは、生活管理指導表によって医師の診断・指示を園と共有したうえで、緊急時を含む対応内容を確認することが示されています。 エピペンを預かる場合には、緊急時の対応内容について保護者と協議して「緊急時個別対応票」を作成することも示されています。 そして園の側では、緊急時に職員の役割分担を明確にし、研修や訓練、情報共有を行うことが重要とされています。 つまり、医師の診断・指示を共有すること、保護者と園がその内容を確認し合うこと、園内で手順と役割が共有されていることが、それぞれ必要だということです。 書類を出したあとに、その内容が園でどう共有され、実際にどういう順番で動くことになっているのかを聞いてみるだけでも、違うのではないかと思っています。 これは我が家に起きた一度の出来事から私が感じたことで、保育園全般がこうだという話ではありません。 園の対応を評価するつもりもありません。 ただ、同じように伝えてあるから大丈夫と思っている方には、一度確認してみることをおすすめしたいです。
確認を重ねても、症状が出ることはある
もうひとつ書いておきたいことがあります。 このロールパンは、主治医と相談したうえで園で出してもらえるようになっていたものでした。 それでも発疹は出ました。 確認を積み重ねれば症状がまったく出なくなる、ということではないのだと思います。 私たちができるのは、防げるはずの誤食や行き違いを減らすことと、症状が出たときに事前に決めた対応につなげられる状態をつくっておくことまでです。
園とのやり取りと、仕事との両立で感じていること
アレルギーのことで普段いちばんやり取りをしているのは、調理師さんです。 入園前は知らなかったことですが、給食室の調理師さんときちんと話をすることで、不安感は少し取り除くことができるかもしれない、と今は思っています。 担任の先生に卵の量について相談したときは、翌日の朝には声をかけてくださって、今後の進め方を具体的に示していただけました。 仕事との両立については、今は時短勤務なので、毎朝の確認が出勤時間に影響することはありません。 ただ、いつまでも時短勤務でいられるわけではないので、今後困る可能性があると感じています。 それとは別に大変なのが通院です。 毎月かならず病院のために休まなければなりません。
まとめ|入園前の自分に伝えたいこと
入園前、私が不安だったのは「きちんと除去してもらえるのか」「アレルギーが発症したらどうしよう」の 2 つでした。 今は、園できちんと除去していただいていて、子どもも楽しく過ごしています。 入園前の自分に一つだけ伝えられるとしたら、医師に記入してもらう書類は時間がかかることもあるので、入園が決まったらすぐアレルギーについて相談してほしいということです。
最後に、これから入園を控えている方に向けて、やっておくとよいと思うことをまとめます。
入園が決まった時点で、園にアレルギーの相談を入れる 必要な書類・様式・提出時期・手続きの流れを園に確認する 園から示された内容に合わせて、主治医に書類の記入や相談のタイミングを相談する 面談で聞くことを整理しておく(アレルギー除去の確認方法/症状が出たときの対応と、医師の指示を共有したうえで園内でどう手順が決まり共有されているか/アレルギー除去が必要な子どもの受け入れ経験と実績、およびその対応体制)
ここまで書いてきたことは、あくまで我が家の経験です。 園や自治体によって、書類も、確認の方法も、対応の範囲も変わります。 この記事が、ご自身の園に何を聞けばよいかを考えるきっかけになれば嬉しいです。


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